1)農家等民泊とは
一般的には子供達を農林漁家(以下「農家等」という)の方たちの生
活の場に招きき入れ、ホテルや旅館では得られない、ありのままの農
家等の暮らしを、ありのままに体験させることを農家等民泊と言ってい
ますが、この手引き書では、学校の校長先生が教育上必要と認めた
学校行事として行う農林漁業体験、農山漁村体験のため、子供達
と引率者が、農家等へ宿泊することに限定して「農家等民泊」として
います。
また、この「農家等民泊」は後で述べる実施組織から協力依頼があ
ったものでなければならず、農家等1戸当たり年回3回程度で、1回当
たり2泊以下としています。(この回数・泊数制限は2007年に撤廃)
農家等民泊では、子供達の安全・安心を考えた、気配りが必要に
なることは言うまでもありません。
2)ホテルと旅館、民宿と「農家等民泊」はここが違います
ホテルや旅館は宿泊させることを「業」としています。(営業行為)
実は、農家等が体験学習に訪れた子供達から宿泊料をもらって、
何回も、泊める場合は「営業」と見なされ、ホテルや旅館などを営業
するように保健所の許可が必要となりますが、宮城県で定めた実施
方針では、「宿泊料に当たるお金をもらってはいけません」と言ってま
すから、この方針のとおりに民泊を行うことは「業」には当たらないことに
なります。
つまり、農家等民泊は、旅館やホテルのような『営業』ではなく、農
林漁業体験や農山漁村の暮らしを体験したい人のために、自分た
ちの生活の場を提供する、いわゆる「ボランティア的な取組み(指導
の対価以外は受け取らない)」なのです。
3)体験学習の定義
体験学習とは,学校教育法第1条に定める学校(以下「学校」とい
う。)の児童及び生徒が行う農林漁業に係る体験及び農山漁村で
の生活体験等で、学校長が教育上必要と認めるものをいう。
4)農家等民泊の定義
(1) 農家等民泊とは「1 体験学習の定義」に定める体験学習に伴
い、児童、生徒及びその引率者(以下「生徒等」という。)が農
林 漁家(以下「農家等」という。)へ宿泊することをいう。
(2) 前記(1)に規定する農家等民泊は,「8 実施組織」でいう組織
が受入れした生徒等で、かつ、当該組織からの協力依頼による
もののみとし、農家等が自ら実施するものはこれに含まないもの
とする。
5)宿泊人数
1回の農家等民泊において受け入れることのできる生徒等の人数は、
安 全の確保ができる範囲内とする。
6)食事の提供の制限
農家等民泊における生徒等の食事は,生徒等が自ら調理するもの又
は農家等と共同で調理するものとし、それ以外は食事の提供はしない
も のとする。
7)衛生の確保
農家等は、受入れの実施に当たり,事前に検便等を実施するなど、衛
生の確保に努めるものとする。
8)宿泊の安全確保
(1) 農家等は、受入れの実施に当たり、事前に管轄の消防機関の指
導を受けるものとし、受入れに使用する部分の延べ床面積等に応
じて必要な消防用設備等を設置するものとする。また、受入れに
使用する面積等について変更があった場合については、再度管轄
の消防機関の指導を受けるものとする。
(2) 宿泊に供することのできる部屋は、1階部分で外部に向けた窓が設
置されている部屋等、安全が十分に確保できる部屋に限るものとす
る。
また,農家等は生徒等に対して避難口等の案内を事前に行うもの
とする。
9)指導の対価等の受取り
(1) 農家等は、生徒等の体験に対する指導をした場合は、その内容に
応じた対価を受け取ることができるものとし、その基準は別表に掲げ
るところによる。
(2) 前記(1)に定める指導の対価は「8 実施組織」でいう組織が指導
内容及び指導時間を考慮し定めるものとし、その金額は体験指導
に係るもののみとする。
(3) 農家等は、前記(1),(2)に定めるものの他,「4 食事の提供の制限」
に定める調理に用いる食材料等を提供した場合は、その実費を受
け取ることができる。
10)実施組織
(1) 受入れする市町村等は,農家等民泊を円滑に実施するための組
織(以下「協議会」という)を設置するものとし、その機能は次のとお
りとする。
イ 生徒等受入に伴う契約業務。
ロ 農家等民泊受入の日程等の調整。
ハ 受入農家等の指導。
ニ 体験指導の対価の額の設定。
ホ その他農家等民泊の実施に係る業務。
(2) 協議会は、実施しようとする体験学習内容等について事前に学校
長と協議を行い、全ての農家等において生徒等の安全が確実に
確保できる場合のみ受入れするものとする。
11)協議会の構成員
協議会の構成は,市町村等に委ねるものとする。
12)事故等の対応
協議会は生徒等の受入れに当たり、あらかじめ学校長と協議し、体
験 及び宿泊時等に係る安全対策等に関する事項について明確に
しておくとともに、傷害保険等へ加入するなど事故発生時の対応等
に万全を期すこと。
13)農家等の登録
農家等民泊を実施する農家等は登録制とし、事前に協議会に届
け出るものとする。
14)研修の実施
協議会は生徒等の安全と衛生の確保のため、登録農家等に対し
年1回以上の研修を実施するものとする。
5)その他
この取扱いによるもののほか、農家等民泊の実施についての必要
な事項は協議会と関係機関とが協議して定めるものとする。
別表
◇ 指導の対価に含むことができるもの
消耗品(体験の材料費)、人件費(体験指導に要する労賃)
収穫農産物価格(収穫体験の場合)、体験指導の諸経費
◇ 指導の対価に含むことができないもの
宿泊のための経費、生徒等の送迎のために要する経費
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